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解くべき「問い」を定めることからはじめよう!
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解くべき「問い」を定めることからはじめよう!
先日首都圏の公立高校で、総合探究で課題を設定する授業を見学する機会がありました。SDGsに関わるものや地域振興に関わるものなど、グループあるいは単独でテーマを決め、ホワイトボードに向かって気になるキーワードを書き出していました。どんどんワードを書きだしている生徒さんもいれば、苦戦している生徒さんも。
どのような問いを立てるかということは、探究の重要なフェーズです。社会においても、これまでは問題解決力をいかに育成するかが注目されていましたが、昨今はそれ以上に問題発見力が重要視されるようになっています。“解くべき問い”を見つけることが重要だというわけです。東京学芸大学先端教育人材育成機構高校探究プロジェクトでは、総合的な探究の時間のヒント動画*1をWebサイトにアップしています。この中で、聖ドミニコ学園カリキュラム・マネージャー石川一郎先生は、課題設定のためには「自分の関心事について言葉にして書き出し、その言葉をマインドマップ*2を用いて言葉を広げてみる。関心あることを考えるのは、心も動き、頭も働きやすくなるのではないか。」とおっしゃっています。
前述の授業見学の際、なかなか「問い」を見つけられずに苦戦している生徒さんは、「探究の授業」のテーマということで難しく考えてしまい、入口で立ち往生しているようでした。日々の暮らしの中で身近にあって気になることも、多くはそこに探究するに値する事象、さらには解決すべき社会課題とつながっているものです。石川先生がおっしゃるように、むしろそういうところから紐解いていくことで、課題を自分事としてとらえ、探究するモチベーションにもつながっていくのではないでしょうか。
授業見学をしていてもう1つ気になったことがあります。SDGsに関連する課題をとりあげようとしているグループのメンバーと話をした際、マスコミでも報道されている、テーマに関連するニュースについて、ほとんどのメンバーが知りませんでした。
家庭での新聞購読数は減少の一途をたどり、昨今の子どもたちはテレビを見る機会もぐっと減っています。結果として、狭い範囲のニュースにしか接する機会のないケースが増えています。探究のテーマとして自分の好きなことや関心事を入口としてマインドマップを描くにしても、これを広げるためには、自分自身の引き出しを増やしていくことも、“解くべき問い”を見つけるために必要ではないでしょうか。そうしたきっかけづくりや働きかけも大事なのではないかと思います。
*1東京学芸大学先端教育人材育成機構高校探究プロジェクト:総合的な探究の時間のツールキット https://g-tanq.jp/inquiry
*2マインドマップ:トニー・ブザンが提唱する思考の表現方法。テーマとなるもののキーワードやイメージを中央に置き、そこから放射状にキーワードやイメージを広げて表現することで、思考を整理すること
(執筆: 森上教育研究所アソシエイツ 高橋 真実)
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