創育クリエート

創育クリエートメルマガ vo.67を配信しました

創育クリエートメルマガvo.67
データサイエンス教育を巡る学びの変化

***********************************
【今回のメルマガテーマ】
データサイエンス教育を巡る学びの変化

大学は今、大きな変化の時を迎えています。その変化の1つがデータサイエンスに関わる教育の拡充です。今年は、国立大学1学部(一橋)、私立大学3学部のデータサイエンス系学部の新設が予定されています。この中には順天堂大学が「健康」にフォーカスしているように、大学の特徴を活かした学部もあります。

データサイエンスに関連するカリキュラムの必須化も広まっています。朝日新聞と河合塾昨年行った共同調査*1によると、数理・DS・AI教育科目について、全学生への必修化を「すでに実施している」と答えた大学の割合は、情報・DS学部では54%、医学部を含む理系学部で48%、人文・社会学系の学部でも27%に達しているそうです。上智大学のように全学部でデータサイエンス概論を必修科目としている大学もあれば、早稲田大学のようにオンデマンドで科目を提供し、これに対応してデータ科学認定制度をスタートさせている大学もあります。

前述の調査では調査対象の大学に、数理・DS・AI教育を進める上での課題についても聞いています。その回答には「文系学生の数学や情報系の基礎学力不足や履修意欲の欠如」や「数学やデータに拒否反応を示す学生」の存在を指摘するものもあったそうです。大学での学びの基盤を作るべく、大学教育の変化に対応して高校は何をすべかを考えることも必要ではないでしょうか。

世界的なIT大手SASによれば、データサイエンティストとは「さまざまな意思決定の局面において、データにもとづいて合理的な判断を行えるように意思決定者をサポートする職務またはそれを行う人」とあり、「統計解析やITのスキルに加えて、ビジネスや市場トレンドなど幅広い知識が求められる」とあります。このように、データサイエンティストには専門知識・スキルのみならず、社会やビジネスに関する知識や広い視野を持つことも求められています。

データサイエンティストを含む先端IT人材は現在数万人規模で不足しているといわれ、需給ギャップはますます広がると予想されます。このような状況においてデータサイエンスなどのスキル・セットを持つことは将来の展望を大きく開くことにつながることは間違いありません。また、専門職に就かないまでも、あらゆる職業において有用なものであることも論を待たないでしょう。こうした時代を生き抜くために、常に主体的に学び、幅広い興味関心を持つ態度も高校のうちから育んでいくことが大切ではないでしょうか。

*1 朝日新聞デジタル 2022年11月15日記事

(執筆: 森上教育研究所アソシエイツ 高橋 真実)

***********************************